China Report 4.12

河南省・龍門石窟
〜万仏洞〜

唐の隆盛期に造営された万仏洞
 前ページでご紹介した 慈香洞 のすぐ手前(北側)に位置する万仏洞。 唐の時代の隆盛期、7世紀後半に造営されたこの石窟には、後述するように 15,000 の仏像が刻されていると言われています。

 左の万仏洞の解説には、

 唐の時代の 680年、大監(工事監督)で朝廷二品女官であった姚神表と、内道場(唐の宮廷内で仏事を行う施設)の尼僧であった智運禅師が、唐の三代皇帝:高宗李治、則天武后や諸王の為に、豊満な顔立ちで静かな眼差しの阿弥陀仏を造営した。  主尊の両側や背後には52本(註)の蓮の花があり、それぞれの花の上に供養菩薩が座っている。 南北の壁には万の仏と、その下には歌舞する女性の姿が刻まれている。

と書かれています。 では、万仏洞の様子を見てみましょう。

 【註】:万仏洞の主尊の背後の蓮の花は54本との説もありますが、現地の解説には52と書かれてあります。


万仏洞の主尊と夥しい仏像が刻されている洞内南壁

 万仏洞の高さは約6m。 公式な数値は見つけていませんが、幅、奥行きとも概ね5〜6m程度でしょうか。 奥の主尊の両側、南北の壁には夥しい数の仏像が刻まれています。 この数え切れないほどの仏像が、万仏洞の名前の由来です。

 この石窟造営の指揮者が二人の女性(朝廷二品女官の姚神表と内道場尼僧であった智運禅師)であったからか、壁面の仏像群を下から持ち上げるように美しく舞う女性(楽伎)の姿が刻されています。

 主尊の阿弥陀仏座像の左右には、比丘と菩薩が一人ずつ守護するように立ち、背後の壁面には下から伸びた蓮の花の上に座る供養菩薩が彫られています。


(左)主尊を守護する比丘と菩薩 (右)天井に刻まれている蓮の花

  万仏洞には蓮花洞ほど深い彫りではありませんが、天井部に蓮の花が刻まれています。 この蓮の花の周りには「大監の姚神表と内道場の智運禅師は、仏像一万五千体の仏龕を造り上げ、大唐永隆元年(680年)十一月三十日に完成した」との造像の銘文があります。


綺麗に彫られている小さな仏像たち


 それでは、いよいよ龍門石窟最大の美術品、唐の時代のあの仏像を見に行きましょうか。


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