Europe Report 2.5

ケルンからエンマーリッヒへ
〜鈍行列車の旅〜

2時間の鈍行列車の旅はこんな席で...

 Emmerich行きの鈍行列車は,ケルンの駅を出るとライン川を渡ってまずは北に向かい,日本人が多いデュッセルドルフを経て, デューイスブルグに向かいます。 ここから幹線を離れて北西に進路を変え,目的地の Emmerich まで全部で2時間の旅です。

 今回はチョッピリ奮発して1等での旅としたので,鈍行列車でも個室6人がけの席。 時間的には夕方でしたが,特に混み合うこともなくユッタリと旅を楽しむことができました。  一般に,IECなどの特急列車でも各駅停車のローカル鈍行列車でも,1等車と2等車が連結されており,切符があれば1等車に乗ることができます。

オランダに近いドイツ北西部
はこんな平地ばっかり

 列車がデューイスブルグを経て,オランダ方面向けの北西に向きを変えると,もう街や山の気配はなく,だだっ広い平野ばかり。  国土の多くが海面下の平地ばかりであるオランダに迫らんと向かっているわけですから,山どころか,丘なんぞあろうはずがないという感じです。

 バンコク及びその周辺でも殆ど山を見ることができませんので,私自身は「タイと似たようなものかなぁ?」と思いましたが,日本にいると殆どどこにいても山を見ることができるわけで, その感覚をベースにすれば,かなり違和感があるというか,こんな広い土地が確保できて羨ましいなぁという思いも湧いてきます。



あちこちで見かけた風車(上)
高さは30mほど(下)
 車窓の風景は,だだっ広い牧場や畑と駅毎の小さな町との繰り返しで,雰囲気的にはノンビリした感じです。 牛などの家畜も見かけます。  そんな中,少しずつですが風車の姿が見られるようになりました。 列車に乗ってる間に20や30は見かけたでしょうか。 ドイツやオランダでは発電用の風車が, かなりの数にのぼる旨の話は聞いていましたが,いやぁこんなにもあるとはビックリです。 それぞれの風車は高さ30mくらいですから, 1基当たりの最大出力は,感覚的に数百kW〜大きくても1000kW程度でしょう。

 風力発電は自然任せであり,ダムなどで水の量をコントロールできる水力発電のように風の量を人為的に調整できませんので,火力や原子力などによる発電方式に較べると,長時間一定した出力を確保できるという安定性の面や, また個々の発電機の出力が小さいので,スケールメリットの面で不利なことから,電力を消費する側から見れば電力が不安定でコストも安くないため, 決して使いやすい電源と言えるものではありません。 しかし,化石燃料を消費せず,自然に優しいという観点からは大きなメリットがあります。

 その土地の気象状況や地形,風土,地域住民の反応など考慮すべき点は多々ありますが,長い眼で見て自然を保護しつつ自分たちのエネルギー源を確保するという意味では, この地域の人々は素晴らしい選択をしているなと感じました。


オランダ国境に近いEmmerichに到着
 ケルンを後にして2時間,太陽も西に傾いて地平線に迫る頃,いよいよ国境のドイツ側最後の駅であり,この列車の終点でもある Emmerich に近づいてきました。  今回のドイツでの鉄道の旅もこれで終わりです。

 フランクフルトから4時間半,ライン川河畔や沿線の町,そして広大な平原の景色など,日本では眼にできない光景をゆったりと観ることができました。  ヨーロッパの鉄道は,日本のシステムと似ているところが多く,主要な街は殆ど網羅していますので「使い勝手」にさえ慣れれば,快適な旅を楽しむことができます。

 列車のスピードが落ち,終着駅に入りました。 さて,友人の Oliver は,約束どおり待っていてくれるかなぁ。


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