Report 43

バンコクの新名所?
穴場的三寺院 (1)
ワット・プラケオ
(エメラルド寺院)

ワット・ポー
(涅槃寺院)

ワット・アルン
(暁の寺)

 バンコクを初めて訪れると,殆どの方がワット・プラケオ,ワット・ポー,そしてワット・アルンという「定番」のコースに足を向けることと思います。  バンコク・リピーターのあなた,どうでしたか? これからバンコクに行ってみようというアナタ,如何ですか? おもしろタイリポートの編集部では, この定番の3つのお寺に参ることを日本風に「バンコク三寺院参り」と勝手に呼んでおります。

 これら三寺院のご案内は他に譲るとして,ここでは編集部選りすぐり(?)のバンコクの新名所,「穴場的三寺院」をご紹介しましょう。 バンコクには, いやタイ全土にお寺は数え切れないほどありますが,このページでは編集長が独断で選んだ,ワット・ベンチャマボピット,ワット・サケット, そしてワット・スタットを穴場的三寺院としてご案内します。


【ワット・ベンチャマボピット】
ワット・ベンチャマボピット(大理石寺院)

 正式名称は,「ワット・ベンチャマボピット・ドゥシット・ワナラーム・ラチャ・ヴォラ・ヴィハーン」という長い名前,通称大理石寺院,英語では "Marble Temple" と呼ばれています。  場所は国王がお住まいのチットラダー宮殿の近く,シー・アユッティアー通り(タイ語では「タノン・シー・アユッティアー」)とラマ6世通り(タイ語では「タノン・パラン・ホック」)の交差点のところです。

寺院境内の「向こう正面」入口
上の5つ窓にステンドグラスがある

 このお寺は,1899年に時の国王ラマ5世(チュラロンコーン大王)の命により建立が始まったもの。 ヨーロッパを旅したラマ5世は欧風建築の大理石の美しさに心惹かれ,伝統的なタイの寺院建築に大理石を取り入れるべく,弟(異母弟らしい)のナリッサラーヌワッティオン親王にコンセプトを考えさせます。  細部はイタリア人の建築家(エルキューレ・マンフレッディという人)が設計したものらしい。

 壁や柱を覆う美しい大理石はイタリア北部,トスカーナ州の Carrara(カラーラ)からこの寺のために特別に取り寄せたもの。 当時のラマ5世の西欧への「思い入れ」がうかがえます。  これが別名「大理石寺院:Marble Temple」と呼ばれている由縁です。

 建物上部にはタイ式の模様(天人が合掌している様子など)が描かれた美しいステンドグラスがあり,ここにも欧風様式との融合の一面を見ることができます。

 ご本尊は,タイでもっとも美しい仏像と言われているピサヌローク(スコータイ遺跡に近い,バンコクの北約500kmほどに位置する街)にある寺院:ワット・プラ・スィー・ラッタナー・マハタートの本尊,プラ・ブッダ・チナラートを模したもの。 この仏像の台座には, この寺院の完成を見ることなく 1920年に御されたラマ5世の遺骨が納められています。 取材に行った日は,お寺の催しが執り行われていたので,本堂の内部は残念ながら撮影できませんでした。


本堂外壁の美しいレリーフ

 境内には 20バーツを払って入ります。 観光名所化している寺院は,だいたいとこでも 20〜30バーツ(=60〜90円ほど)の入場料をとられますが,タンブーン(寄進,お布施)とでも思えば,我々には高いものではないでしょう。  ワット・プラケオやアユッティヤーのバンパイン宮殿などは,タイ人は数十バーツなのに外国人はそれより高い入場料(ワット・プラケオの場合は 200バーツ)を払わねばならないところもあります。 こういうところは外国人向けの料金は英語で, タイ人向けの料金は数字も含めてタイ語で表記されているので,初めての人は判らないことが多いようです。

 しかし,ここでご紹介する穴場的三寺院の入場料は,外国人でも数十バーツ(概ね100円以下)のところばかりなので,あまり不快な思いをすることもないでしょう。

 タイのお寺はどこでもそうですが,ここの境内も綺麗に手入れがされており,憩いの場にもなります。 本堂の裏手は,アジア各地から(もちろん日本からも!)集まった(?)様々な表情の仏像の「展示場」です。  我々が日本のお寺で日頃見ていた仏像が,他のアジア諸国の仏像と表情や容姿がどう違うか〜例えばタイの仏像は薄着なのに,日本の仏像は厚着とか〜がよくわかりますよ。 「比較仏像研究」な〜んて如何ですか?

 それでは次に平坦なバンコクの中でも,珍しくちょっと高台にあるワット・サケットに行ってみましょう。(2004年11月記)


境内の水場は綺麗に手入れが行き届いている(左) 中国風の石像も至る所に(右)