Perth & Singapore Report 2.3

パース散策3日目
2002年4月14日(日)


パースの鉄道駅(上)とフリーマントル行電車(下)
 パースの観光も実質今日まで。 日曜日の今日は,パースの西に浮かぶロットネスト島に行ってみることにしました。

 ロットネッスト島は,オーストラリアの本土西岸から20kmほどの沖合に浮かぶリゾートアイランドで,日帰りでも手軽に行けるところです。 今回はカミはんが,この情報を目聡く見つけ, 行くことになりました。

 パースは世界地図ではインド洋に面しているように見えますが,実際は内陸の街で,海に面しているのはパースから南西に20kmほど離れたフリーマントルという港町です。 ロットネスト島への定期船は, このフリーマントルから出ています。

 パース〜フリーマントル間は電車やバスなどが頻繁に運行していますが,今回は電車を利用しました。 電車は曜日や時間帯にもよりますが昼間は15分置きに運行しており, パースからフリーマントルへは30分ほどで辿り着きました。

 駅を降りると,港はすぐ近く。 駅員さんにロットネスト島へ行く船の乗り場を尋ねて,埠頭の方へ歩いていきます。 5分も歩くと,乗り場がありました。 チケットを買って少し時間があったので, その辺の店をぶらりと見て歩きます。 土産屋やカフェ,海の幸を揃えた店などが並んでいます。 埠頭では釣りをしている人もいて,「美味しそうな」魚が次々と上がっていました。 ゴクリ!


フリーマントル〜ロットネスト島を結ぶ高速船
 暫く待っていると,ロットネスト島行きの船がやってきました。 双胴船の高速艇で,揺れも少なそう。 島へ運ばれる数々の貨物と共に,訪れる人たちも乗り込みます。 中には自転車を持ち込む人もいます。  みんな乗り込んだところで,いよいよ出港,オーストラリア本土の地を後に,一路進路を島にとります。

 港の中では静かでしたが,左右の防波堤を後にするとインド洋。 この日は天候も良く波も穏やかでしたが,それでも外洋特有の波と風が船を襲います。 この船は2隻の舟を横に並べてその上に客室を乗せた構造(双胴船)なので, 比較的揺れが少なく海の旅も快適です。 デッキに出ると心地よい潮風が全身を包みます。 4月のオーストラリアはもう秋の季節,少し肌寒い感じでした。

 フリーマントルを出て,30分ほどで目的のロットネスト島の港に接岸です。


ロットネスト島概要図 拡大図はこちら

 ロットネスト島は東西11km,南北4.5km,広さ約19平方キロの島で,地質は主に石灰岩です。 島の北東部に船着き場があり,フリーマントルからの船はここに入港します。  この島は,西オーストラリア州政府によって管理されており,車の乗入は勿論,指定地以外でのキャンピングや宿泊,島の野生動物への給餌などは禁止されています。  本土から近場というロケーションも手伝って,年間50万人の観光客を集めているとか。 また,この島は世界でも指折りの強風地帯で,それを裏付けるかのように,島には高木はありませんでした。


島中に生息する野生のQuokka(上)と
島の西端から望むインド洋(下)
 かつてこの島はオーストラリア本土と地続きで,地元のアボリジニはWadjemup(水辺の地) と呼んでいたそうです。 その後地形の変化により島となりました。  1696年,この島を発見したオランダ人が,島にあまりにも多くのネズミが生息していたことから"Rotte-nest"(ネズミの巣窟)と名付けたことがこの島の名前の由来です。

 ところがオランダ人が思い込んでいたネズミ,実はQuokka(クオッカ)と呼ばれる有袋類の小型動物だったのです。 このQuokkaは,小型のカンガルーの親戚のようなもので, 今でも島に野生の状態で生息しており,至る所で見ることができます。

 港近くのVisitor Centerでは,島巡り用のレンタルサイクルなども準備されています。 5人家族でメンバーの一部は「荷物」と化しているウチは, 島を回るバスツアーに参加しました。 3時間ほどで島を1周,ガイドが案内してくれます。

 Quokkaが集結している場所や海の綺麗な高台など,いくつかのポイントを回って,島の最西端,West EndのCape Vlaminghにやって来ました。 程よく雲が浮かぶ青い空,そしてインド洋の白い波間で珊瑚礁に輝く海がとても綺麗, バンコクとは(日本とも?)大違いですなぁ。


島の高台に位置する灯台 1896年完成
 さて,お次は海抜64.3mの島で一番の高台に立つ灯台,この島の古い地名に由来するWadjemup Lighthouseにやってきました。  絶好の立地ならでは,さすがにこの灯台は,島のどこからでも眺めることができます。 青い空をバックに,白く化粧をした灯台が眩しく映ります。

 この灯台の歴史は1851年(Rottnest Island Visitor Informationによると1849年)にスタートします。 この年に,西オーストラリアで最初の石積構造の灯台がこの地に誕生しました。 当時の灯台の高さは, 今の灯台の約半分の20m。 その後1896年に高さ38mの現在のものに建て替えられました。 この灯台は,オーストラリアで4番目の高さを誇っています。 灯台の心臓ともいえる光源は,最初はココナツ油を灯し,その後は灯油を燃やしました。  電化されたのは,この島に発電機が設置された1936年。 現在は灯台には停電時に備えて,非常用のディーゼル発電機も設置してあります。

 誕生から150年余りを経た今も,この灯台は西オーストラリア,フリーマントルの「守り神」のような存在で,120V, 1000Wの電球を使い,100万カンデラの明るさで日夜航海の安全を守り続けてます。

 島を1周したところで「丁度時間」です。 午後のフリーマントル行きの船に乗り込み,島を後にしました。 ここで1泊する程度の時間の余裕があれば, 自転車で島を回るのも一興でしょう。 ただ,港から島の最西端までは上り下りを含めて道程20kmほどありますので,それなりの体力は必要ですが。

 フリーマントルでは,パースと同様の無料CATバスで街を1周し,朝と同様電車で宿まで帰ってきました。 フリーマントルも,海洋博物館や旧刑務所など,歴史的な見所が沢山あるので, 時間があれば訪れてみたい街ですが,今回は時間切れ〜チン! ということで,パースでの全日程は目出度く(?)終わったのでした。


フリーマントルの鉄道駅(左)とフリーマントルにもある"CAT"バス(右)


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