Report 22
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スリンの象祭 |
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タイの東北部,バンコクから東北東方向に460kmほど離れたところにスリン(SURIN)という町があります。 日本では余り馴染みがない町ですが,
年に1度タイの象が一堂に会して祭が催されるこの町は,タイでは有名な町です。 今回は2002年11月の16〜17日に開かれた象祭りに行ってみました。
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スリン(SURIN)はバンコクの東北東約460km |
バンコクからスリンまでの「足」はいくつかありますが,今回は寝台列車にチャレンジ! バンコクのホァランポーン駅の9番ホームから発車するUBON RATCHATHANI(ウボンラチャタニ)行きに乗り込みます。
夜になっても,駅は賑やか。 これから各地へ向かう夜行列車に乗り込む人たちでいっぱいです。
21:00 定刻(こちらの人に言わせると,定刻に発車するのは珍しいらしい!)に列車は動き出しました。 初めて乗るタイの寝台列車,今回は2等にしましたが,冷房完備。 通路を挟んで2段の寝台が並んでいます。
シーツと枕,そして大きめのタオルケットが準備され,乗務員のおじさんが寝台を次々に作っていきます。 列車はまだ賑わうバンコクの街を後に,ガタゴト揺れながら走って行きます。
ドンムアン空港の前を過ぎると,街の明かりがめっきり減り,車窓からの光も乏しくなりました。 22:00を回ったのでそろそろ眠ることにしましょう。 冷房は(珍しく?)効き過ぎることなく,
快適です。 とはいえ,いつもは乗らない寝台列車なので,1時間おきに目が覚めます。 「今どの辺を走ってるんだろう?」 日本だったら,時計と時刻表,そしてあたりの風景からおおよその位置は見当がつくのですが,
車窓には広大な平原が広がり,数え切れないほどの星が空を覆っている風景ばかり。 ところどころ小さな町の駅を過ぎますが,看板があっても字が読めないので,どこを走っているのか判りません。 |
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タイ東北部の高原地帯を東へ向かう列車に,ようやく朝の気配が漂ってきました。 予定では5時過ぎに目的の駅に着くのですが,5時半を回っても「それらしい」雰囲気は無し。 どうやら「予定どおり」に遅れている模様。
明るくなった車窓を見ると,さすが東北,バンコクではまず見ることができない「霧」が漂っていました。 う〜ん,涼しそう! 列車は予定より1時間近く遅れてスリンの町に辿り着きました。
さて,列車を後に象祭りの会場へと向かいます。 いやぁ,祭ですねぇ,朝から賑わってる! 大勢の観客がタイ全土はもとより,日本人はもちろん,西洋人(タイの人たちは西洋人を「ファラン」と呼びます)も,世界中からお客が来ています。
一説ではこの祭,タイの象の代表が世界中の人間を見にスリンに集まるとも言われてます。 (ホントかいな?)
さぁ,いよいよ祭の幕開けです。 まずは本日の豪華キャスト,総勢280頭の象君達のパレードです。 老若男女の象たちがゾロゾロ,というよりノシノシと歩いて行きます。 いやぁ,圧巻です! |
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 象祭りに登場した豪華キャストの「ごく一部」 総勢は280頭参加したとか |
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2本足倒立の芸を見せる象(左) 象のサッカー(右) |
パレードの後は,2本足で立ったり,お辞儀をしたりする象の芸,昔からこの地方に伝わる象狩りの風景や,捕まえてきた象の調教風景などが紹介されました。 また,象のバスケットボールや,
サッカーなども披露されました。
タイでは古くから象が家畜,というより一部の地域では家族同様に扱われ,人々の生活の一部を担ってきました。 アフリカの象に較べるとタイの象は利口で,人間の言葉さえも理解すると言われています。
アジア地域では人間が象を「運転」する姿が見られますが,アフリカの地元の人たちが象を運転している姿は見たことがありません。 この祭でも,象たちは数々の芸を披露してくれ,改めて象たちの利口さを実感しました。
さてさて,次は象と人間の綱引きです。 重さ5.4tの巨大なメス象と,70名の男達が綱を引き合います。 どっちが勝つかなぁ? | |
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 重さ5.4tの象(右)と70名の人間との綱引き 勝敗や如何に? |
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タイで最も美しい象牙を持つと言われている象(左)祭りのフィナーレを飾る地元の人たち(右) |
70名の男達は一生懸命に綱を引きましたが,象が向こうを向いて歩き出すと,あっという間に引きずられていき,人間チームはあっけなく負けてしまいました。 人間の「無力さ」を感じます。
この70名のアンちゃん達,前の日の「リハーサル」で象に負けたので,この日はシャツ無しでした。 明日ももう一試合あるのですが,今日負けたので,明日はパンツ1丁かな。 で,明日負けたら,
明後日は・・・? いや,失礼しました! | |
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祭りの後はレンタ象でドライブ |
数々の芸を披露してくれた象の祭もいよいよフィナーレ,最後はまたまた象と地元の人たちのパレードです。 オリンピックの閉会式の如く,
タイ語の「サワディ・カー」「サワディ・カップ」に混じって各国の"さようなら"が飛び交います。 もちろん「サヨナラ」の大きな声も聞かれました。
祭りの後は,象は一転して「レンタカー」と化します。 その辺10分ほどなら100バーツ(約\300),30分ほどの「市内ドライブ」なら400バーツ(約\1200)です。
ウチは,子供達が一緒だったので,みんなで市内ドライブを楽しみました。 ドライブの途中,息子が帽子を落としてしまい,象君の鼻で拾って貰ったので,
降りる時に「ご褒美」にサトウキビをあげました。
いやぁ,象は動物園では見れますが,目の前を走り回ったり,レンタ象に乗ったり,そして落とした帽子を拾って貰ったり・・・なんてことは,
そうそう経験できないことでしょう。 子供達も大満足! 来年もまだタイにいたら,もう一度来ようかな?と魅力満載の象祭りでした。(2002年11月記) |