Report 26

タイの季節は?
ジリジリと太陽が照りつけるタイ
 こちらの人たちは,『タイには3つの季節がある,それは "Hot", "Hotter" そして "Hottest" だ。』と言います。 ジリジリと太陽が照りつけ,1年中暑い感覚のタイです〜確かにそのとおりではあります〜が, このページでは,そんな暑いタイでも少しばかりは味わえる,季節の変化をご紹介しましょう。

 タイは年中暑いところ,確かに日本に較べればそうです。 でもタイは広い国,北はミャンマー・ラオスの国境が近いチェンライやチェンマイから,南はマレーシア国境に近いのハジャイまで, 地図上の緯度では15度ほど,距離にすれば約1500kmもある広い国です。 日本でも北海道と九州では気候が違うように,タイでも北と南では自ずと暑さや寒さ(涼しさ?)は少しばかり違う〜これは次のページでご紹介します〜のですが,ここではバンコクを例にご紹介します。

年平均気温はバンコク28.4℃,東京15.6℃
(バンコク,東京ともに1961-90年平均)
 まずは,バンコクと東京の気温を比較してみましょう。 さすが温帯に属する日本は四季の変化が気温にも現れ,バラエティに富んだ気温分布(?!)ですね。 それに較べ, バンコクの気温分布がなんと「ノッペリ」と横たわっていることか!

 それでもバンコクの気温変化をよく見ると,北半球の国だけあって12月〜2月は気温が低いのが判るでしょう。 この時期は雨季が終わって大地が水を豊富に含んでおり,加えて冬至で太陽が「遠い」ので,タイでは "Hot",こちらで言うところの短い冬なのです。  この時期,街にはそんなのいつ着るの?というような冬物衣料が,一時ですが出回り,長袖の姿が心持ち増えたような風景が見られます。 こちらに住んでいると,この時期が最も過ごしやすい時期です。

 冬が終わると一気に夏,バンコクは4月の雨季入り前が一番の暑さを迎えます。 平均気温は30℃以上,日によっては最高気温が40℃を上回る日さえもあります。 この3〜5月が "Hottest",夏の時期なのです。 この頃は蝉が登場するのですが,昼間は暑すぎるからか, 夜になって鳴き出します。 窓を開けていると,結構五月蠅いものです。

 例年では5月上旬〜中旬から雨季に入ります。 この雨季入りの頃が,果物が最高に美味しい時期です。 マンゴ,マンゴスチン,ライチなどなど,1年で最も旬の味を一番安い価格で味わえます。 タイの雨季入りは「舌」で感じる物なのかも?

 下のグラフでもお判りのとおり,5月〜10月の降雨量は軒並み100mm以上となります。 こちらの雨は日本の梅雨のように1日中シトシトと降るのではなく, 短期集中型で1〜2時間ドバッっと降るだけ。 しかし,それが殆ど毎日続きます。 夕刻の日の入前の雨ならけっこう涼しい夜が過ごせるのですが,午前中にでも降ろうものなら,1日中ジトっとした蒸し暑い日が待っています。  この時期が "Hot" の時期なのです。

年間平均湿度は
バンコク78%(1961-67年平均)
東京64%(1961-90年平均)
年間降水量は
バンコク1492.4mm,東京1405.3mm
(バンコク,東京ともに1961-90年平均)

 上のグラフから,相対湿度は年間通じて日本より高めですが,体感ではそれほど「蒸し暑〜い」というほどではありません。 日によっては,日本よりもカラッと感じる日もあるほどです。

 住んでみて初めて判りますが,このような気候と季節の変化(というか,日本からすれば「不変化」か?)が,この国の文化,風習,言語,国民性を造り出しているいることに,改めて気づかされます。  裏返せば,日本の文化,風習,言語,国民性も,日本固有の気候に基づくものが少なくないってことです。 (時雨,五月雨とか...)

 如何ですか。 年中暑そうなタイだって,日本ほどでは無くても,しっかり季節の変化はあるのです。 初めてタイに日本から短期滞在の観光で来られるのであれば,8月頃がお勧めかな? 4月なんぞに来ようものなら, タイでは灼熱地獄,日本に帰った途端に風邪引きなんてことにもなりかねません。 こちらをご存じのリピータの方は,それぞれの思いを抱いてお好きな時期にお越し下さい。

 このページの気象データは,「理科年表」(国立天文台編,丸善株式会社発行)の平成9(1997)年版(第70冊)のものを使いました。

タイの「冬」の街の風景

やっぱ「夏」は南国級です!