Report 39

緊急取材! バンコク都知事選2004
道路沿いに並ぶ候補者のポスター
 2004年8月,バンコクでは都知事選挙が行われます。 2004年8月5日の日記でご紹介したとおり,投票日は8月29日です。  このところバンコクの街中では,候補者のポスターだらけ。 どれもタイ語なので誰が誰だか判らないのですが,まぁ話のネタに今回のバンコク都知事選挙の様子をご紹介しましょう。

 本ページで紹介するのはあくまでも「バンコク都知事選挙〜タイの選挙戦の様子」であって,特定の政党や候補者への支持や投票を促すものではないことを予めお断りしておきます。

 タイにはバンコク都を含め,全国に76の都県(Province)があります。 このうち,バンコク都の知事は任期が4年で選挙によって選ばれますが,他の75の県知事は国(内務省)の任命とのことです。  従ってバンコク都知事選挙は,タイにとって国政選挙の一環をなすものといっても過言ではないでしょう。

 今回の選挙戦は7月26〜30日の立候補者の受付でスタートしました。 初日の26日には17人の候補者が,その後5人が30日までに立候補の受付を済ませました。 候補者は全部で22人,それぞれに「候補者番号」を貰って選挙戦に臨んでいます。  それでは,今回の立候補者の紹介です。

2004年 バンコク都知事選挙 候補者一覧
番号候 補 者 名年齢編集部一口コメント
Mr.Apirak Kosayodhin43民主党(タイ最大野党)公認候補 元TAオレンジ(タイの携帯電話会社)最高経営責任者(CEO) 有力候補
Mr.Waranchai Chokechana52無所属 今回5回目の立候補
Mr.Chalern Yoobamrung57警察大尉 21年に及ぶ政界での経験を強調 でも暴れん坊の3人のドラ息子のお陰で「有名人」に 有力?
Mr.Kittisak Thiravisit55自営業
Dr.Mana Mahasuvirachai49元バンコク都知事の Chamlong Srimuang 氏が全面支援
Mrs.Leena Jangianya45詳細不明のビジネスウーマン 選挙活動のパフォーマンスが目立つらしい
Mrs.Pavena Hongsakul55無所属 社会的に立場の弱い女性や子供の強い見方 元下院議員 政界での経験も豊富 有力候補
Mr.Pirapong Thanompongphan56元運輸副大臣
Mr.Metta Temchamnan56陸軍出身 1983年の都知事選にも出馬したが落選
10Mr.Wirasak Uppatham53Prachakorn Thai 党の幹部
11Dr.Karun Chandrangsu55元タイ愛国党(タイ与党)幹部
12Mr.Wuthipong Priebjariyawat51Sahasavas Instutute(タイの政治経済シンクタンク)研究員
13Mr.Udom Thepachat49詳細不明の会社員
14Dr.Kobsak Chutikul54無所属 元外務省経済部長
15Mr.Chuwit Kamolvisit43特殊浴場経営 長年にわたる警察への賄賂を暴露し「有名人」に 穴ウマ的存在
16Mr.Sumet Tanthansirikul45詳細不明の会社員
17Mr.Witthaya Jungkobwattana56タイ中央銀行職員
18Mr.Suchart Kerdpol56詳細不明の会社員
19Dr.Phichit Rattakul58元バンコク都知事(1996-2000) 元下院議員 有力候補
20Mr.Chokchai Laohashinbanchorn47詳細不明の会社員
21Mr.Nitipoom Naowarat44警察大尉 政治評論家
22Mr.Wara Banthinak54詳細不明の年金受給者

 まぁざっとこんなものですが,いかがでしょうか?

 選挙運動が始まったタイの選挙戦を見てみると,日本のように「ガッチリ」固められた公職選挙法のようなものはなさそうで,ポスターは作り放題・貼り放題,テレビや新聞も候補者の顔や名前を堂々と出して, 彼らの活動を遠慮無く流しています。

 では次に一部候補のポスターの「展覧会」です。 投票する人の殆どがタイ人でしょうから,表記はタイ語です。 (日本の選挙候補者が,ポスターの公約やポリシーを英語で書くか?と同じことです。)


1番Apirak候補

2番Waranchai候補

3番Chalern候補

5番Mana候補

7番Pavena候補

8番Pirapong候補

9番Metta候補

11番Karun候補

14番Kobsak候補

15番Chuwit候補

19番Phichit候補

21番Nitipoom候補

 ポスターは道路端の歩道のみならず,こういうところにも掲示されているのですよ。 恐るべし,タイの選挙戦!


高速道路沿いにも大形看板が登場


街頭宣伝カー(左)はまぁ判るとして,トゥクトゥクにまでポスターが(右)


建設現場(左)や BTS の駅(右)にも

 ひぇ〜,スゴイですねぇ。 とにかく人目につくところならドコにポスターを掲示してもいいって感じ。 資金が豊富な候補者が「強い」雰囲気で,まさに弱肉強食の世界ですね。 聞くところによると, 選挙戦の資金の上限は決まっているらしいのですが,さていかほどか? そしてどのように使途を報告するのでしょうかねぇ?

 それぞれの候補者の公約は,バンコクが抱えている交通渋滞や大気汚染対策,貧困層に対する対応など,概ね似たり寄ったりです。


選挙戦開始後2週間ほどしてこのようなものが登場

 今回の選挙戦,22人の候補者が出馬していますが,周りのタイの人たちやテレビ・新聞などの「下馬評」によると,最大野党の民主党公認,甘いマスクの1番:Apirak候補と,タイ与党のタイ愛国党(タクシン首相の所属党)が全面支援している7番:Pavena候補が頭一つリードのようです。

 与党のタイ愛国党は,今回出馬すれば当選確実だろうといわれた党幹部が立候補を固辞したことに加え,これまでバンコク都知事選挙で勝てなかったジンクスから,公認候補は擁立しませんでした。 従って7番のPavena候補を支援しているのです。 このPavenaさんが当選した暁には, タイ愛国党の党員に迎えられるのでは? というまことしやかな噂も流れていますが…。

 この2人を追って,元バンコク知事で周囲に担ぎ出された形で立候補した19番:Pichit候補と,政界経験豊富で弁が立つ(毒舌という話も 三男は殺人事件を起こしたにもかかわらず無罪になるなどアヤシイ一面もあり)3番:Chalern候補が有力とか。  ちょっと話題豊富な15番:Chuwit候補も若い人たちには人気らしい。 さ〜て,どうなるでしょうかねぇ?

 選挙運動が始まって2週間ほど経った最近,漸く写真のような「公式」な候補者掲示板がお目見えしました。 これには全候補者の共通データと,居住地域に応じた投票会場が掲示してあります。 こういうものを見ると,タイにも公職選挙法の「ようなもの」がやっぱり存在するのかなぁ…と,ちょっと安心します。

 投票日は8月29日で即日開票,翌30日の新聞にはどの候補者の名前が「バンコク都知事」として乗るのでしょうかねぇ? 乞うご期待! (2004年8月記)


 バンコク都知事選挙の結果を,次のページで「発表!」(2004年8月追記)