Report 47d

国境特集 (4)  アランヤ・プラテート
 この記事は,編集部がここを取材した 2002年11月時点(この時は国境越えをしていません)でのことを基に書いていますので,現在でも同じ状況とは限りません。 アランヤ・プラテートの国境通過にあたっては, 外国人の国境越えが可能か否か,どこでどのような書類や手続きが必要かなどは,必ず自己責任で調査して下さい。

カンボディア国境アランヤ・プラテートのタイ側出入国事務所

 バンコクから東におよそ 240km。 カンボディアへの玄関であるアランヤ・プラテートはバンコクから最も近い陸路の国境です。 ここはタイ〜カンボディアを結ぶ陸路として,外国人も公式に出入国できる国境です。  善し悪しは別にして,観光ビザで滞在している人々が滞在期間を延長すべく一度出国するための日帰りツアーが,バンコクから毎日のように出ています。 ビザ延長ではなく単に国境を見に行くだけであれば,このツアーに乗っかれば比較的簡単に行くことができそう。

かつてタイとカンボディアを結んでいた鉄路

 世界地図を開くと,地図によってはバンコクからアランヤ・プラテートを通ってプノンペンまで鉄道で結ばれているように描かれているものもありますが,実態は写真のとおりです。 かつてはバンコクとプノンペンは鉄路で結ばれていたようですが,ベトナム戦争やカンボディア内戦などの影響で,現在はタイ側はアランヤ・プラテートまで, カンボディア側は国境から 40km ほどのシソポンまでの鉄道がそれぞれ運航されています。 将来的には,タイ〜カンボディア〜ベトナムの国際列車を走らせる計画もあるようですが,実現の見通しはたっていない模様です。

 バンコクからアランヤ・プラテートまでの交通は,State Railway of Thailand のサイトによると鉄道は1日2便,所要時間5時間〜5時間半程度。  一方,バスは バンコクバスマップ のサイト情報ではチャトチャック近くの北バスターミナルから1日30便あまり,所要時間は4時間〜4時間半となっています。  鉄道にせよ,バスにせよ,アランヤ・プラテートの終点から国境までは少し離れており,モトサイ(バイクタクシー)やソンテウ(乗り合いトラック)などで 15〜20分かかります。

 このアランヤ・プラテート,陸路の国境を経験するだけなら,これまでにご紹介したどこよりも「便利」な国境であることは間違いないでしょう。


左:タイ東部の国境の看板 右:国境のタイ側出入国チェックポイント

 バンコクから最も近いこの国境は,他の国境とはちょっと違った雰囲気です。 タイ側には大規模な市場が展開されており,肉,野菜,魚や野菜,穀類などの食料品から衣料,家庭雑貨,電化製品など, 様々な物資が取引されています。 それでは市場の風景をご覧下さい。


左:タイ側の市場の風景 右:こういう新鮮なブタの頭も売られている


左:鶏もこんな感じ インフルエンザは大丈夫かなぁ・・・ 右:この魚はどこから来たのだろうか?


左:市場の別の風景 右:いろんな物資が行き交っている


国境の向こうはカジノが続々と建設されていた

 この国境のカンボディア側,ポイペトの町には,大きなクレーンが「林立」し,大規模な建物が続々と建設されていました。 これらの建物とは,なんと!カジノ。  そしてこれらのカジノ,実はタイの資本によるものなのです。 タイ国内では賭博が禁止されているで,タイのお金持ちが投資して隣国のカンボディアなどにカジノを建てているのですよ。 4月のソンクラーンや年末年始の連休になると, 賭博好きのタイの人達が大勢押し寄せます。 また,これらの建物への電力はタイ側から配電線で供給されているとのことです。

 ところで,アランヤ・プラテートの地名の由来ですが,タイ語の綴りを見ると「プラテート」は「国,国家」を意味する単語そのもの。 ちなみにタイ王国のタイ語による正式名称は「プラテート・タイ」です。  前半の「アランヤ」は,意味がよく解りません。 「森,森林」という意味,「僻地,辺境」という意味など,諸説あるようです。 大きなタイ語辞典で調べれば解るんでしょうけどね。

 この国境であれば,ちょっと時間(まぁ丸1日は必要でしょうけど)があれば,旅行者のアナタも陸路の国境を見に行くことができるかもしれませんよ。 (2005年11月記)