後にジャヤヴァルマン8世が改築しましたが,徐々に仏教の影響は薄れヒンズー色の強い寺院となっていったようです。 タ・プロームと対照をなすのは,この寺院はジャヤヴァルマン7世が彼の父の菩提を弔うために,観音菩薩を祀ったところとのことです。
この寺院の敷地の周囲には東西700m,南北700m の環濠が掘られています。 寺院の外周壁はラテライト(赤茶色をした土で,一定の大きさで切り出して1か月程度天日で乾燥させると硬くなる特性があるので,建築材料に適している。 カンボディアやタイのクメール様式の寺院で多用された。)製で,その長さは東西200m,南北150m。 東西南北に4つの門が設けられています。
右の方に石像が並んでいるのは,乳海攪拌の図を模したナーガの綱引きの様子。 アンコールワットからバイヨンに続く道路に立つ南大門の南側にも,同じような石像を見ることができる。
光の具合で鮮明に撮影できなかったが,ラーマーヤナの物語を刻したもので,ラーマ王子と悪魔の王様ラーヴァナの戦いを描いたもの。
アンコールワットやタ・プローム同様,美しい女性像があちこちに彫られている。 右の方には偽窓〜窓の機能は成していないが,一見窓のように見える彫物〜が見える。 未完成かと思われるが, どうやらこのように「半開きシャッター状態」が特徴のようである。
回廊の真ん中にある円柱形の石が乗った四角い土台,これはヒンズー教の象徴でリンガとヨニ(共にサンスクリット語)と呼ばれるもの。 円柱形のリンガはヒンズー教の神シヴァ(男性)の象徴, 台座のヨニはシヴァ神の妃ドゥルガー(女性)の象徴といわれ,この2つの組み合わせは繁栄や豊かさ,平和,不死などを意味している。 上の方にはいくつかレリーフが剥がれた跡らしきものが見えるが,これは建立当初は仏像も祀られていたが,後にヒンズー教徒により彫られていた仏像が剥ぎ落とされたもの。
陽が落ちるまでもう少し時間があります。 宿に戻るまでに,もう1か所散策してみましょうか。