タイムラグはあるにせよ,アメリカとタイでの滞在を通じて感じたことは「日本は極度に欧米を向いている」ということである。
テレビのコマーシャルや雑誌のモデルには「ガイジン」が登場し,新聞やニュースでは毎日のようにアメリカやヨーロッパの話題に事欠くことはなく,有名人が躓いただけでもニュースになるほどではなかろうか。
書店に行くと,欧米の歴史や文化,町並みなどを事細かに著した本は数え切れないほど並んでいる。 ミャンマー(ヤンゴン)旅行記 を纏めるに当たって,シュウェダゴン・パゴダの解説本を探したが,
適当な日本語版は結局探せなかった。
今日の新聞からアジアやアフリカの話題を拾ってみよう。 欧米の記事と比較して,どんな話題がどの程度紹介されているだろうか? 要人の訃報や事故,クーデターなどの大事件でも起こらない限り,
話題にも上らない国々が沢山あることだろう。
現在,世界には 190ほどの国家があるが,我々が一生知らないままの国もあるかもしれない。 日本が「世界的に知名度が高い国」だと思い込んでいるのは我々日本人だけで,欧米からの眼は一般的に我々が期待するほどではない。
所詮アジアの小国というのが,全地球規模の概評ということになろう。 極論かもしれないが,アメリカが見る日本の位置づけは,日本が見るタイの位置づけとよく似ているということである。
今や世界でも指折りの先進国となった日本,この辺で見る方向を,まだ兄貴と慕ってくれているアジアの諸国にシフトしては如何だろうか。 〔2006年5月記〕