Cambodia Report 4.8

トンレサップの湖

カンボディアの人々に豊かな恵みをもたらすトンレサップの湖

 シェムリアップの街から南に向かうと,広大なトンレサップの湖に出会います。 この湖は雨季と乾季での「伸縮」が著しい,世界的にも特異な湖です。  その年の気候にもよりますが,乾季(概ね11月〜5月)の湖は面積が約2,300〜3,000平方km,北西−南東の「長さ」約120km,北東−南西の「幅」が約 40km のひょうたん形で,水深はせいぜい1〜2m。  これが雨季(概ね6月〜10月)になると面積が 10,000〜14,000平方km にも拡がり,水深は最大14mにもなるのです。  水温は年間通して26〜30℃と比較的温暖で,カンボディアの人々に豊富な恵みをもたらしています。

 湖の南東端からは,トンレサップ川が首都のプノンペンの街で東南アジア最大の国際河川メコン川に合流し,ベトナムのメコンデルタから南シナ海に繋がっています。 このことから歴史的には「海のシルクロード」の延長上にアンコールの文明があり, 古くから各地との交易があったことがうかがえます。 また現代では,ベトナム戦争やカンボディア内戦などの混乱で,カンボディア以外の国の人々が水上ルートでトンレサップ湖畔に来航し,定住しているという問題も顕在化しています。  実際にシェムリアップ郊外のトンレサップ湖畔に住む人々も,ベトナムからの「不法入国」者が少なくないとのことでした。


カンボディアの国旗を掲げる水上生活
水上生活を送る人達の中には,自分たちの「家」に国旗を掲げている人もいる。 船を使ってトンレサップ湖をメコン川の方に下り,ベトナム方面に行くこともあるからだろうか?


水上の教会
水上生活者達はひとつの社会を構成しており,この写真の教会をはじめ,商店や学校などがある。 キリスト教はフランス統治時代の名残だろうか, それともベトナム戦争〜カンボディア内線当時のアメリカ軍の影響だろうか?


ここにもある日本語の看板
アンコール遺跡を巡り,トンレサップの湖に足を伸ばす日本人をターゲットにした看板。 外国人からの観光収入は,彼らにとって大きな糧になるはずである。


モバイル・ホーム
雨季と乾季で「伸縮」が激しいトンレサップ湖畔に住む人々は,湖の水位とともに住処を移していく。 このように簡単に移設できる住処にしているのも,彼らの生活の智慧だろう。


水上の豚小屋(?)
水上で生活する人々は,家畜として豚も飼っている。 小屋を水上に造ることで天然の「水洗トイレ」とし,リサイクルを通じて地球環境保護に貢献している。(笑)


水浴をする子供達
暑い時は水浴をするに限る。 トンレサップの湖は,彼らにとって涼を求める場であり,また体を清める場でもある。



テレビのアンテナだけはどこにでもある
 世界遺産であるアンコール遺跡群を中心に,カンボディア西部のシェムリアップ周辺を巡ってきました。 現在のカンボディアのこの地に, 高度な文明が約1000年前に存在した各地の証を確認した3日間。 これまで,歴史や文明といえば短絡的にヨーロッパや中国などを想い起こしていましたが, 世界各地それぞれに歴史や文明が栄えたことを改めて認識した旅でした。

 今回の旅で「行きそびれた」遺跡や,今になって改めて復習し,もう一度訪れてみたい処は「老後の楽しみ」として大事にとっておくことにしましょう。 さて, その「老後の楽しみ」はいつになることでしょうか?

 明日からはまたバンコクの生活に戻ります。 バンコクに帰る準備をして,空港に向かうことにしましょう。


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