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世界一長い地名を探る | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
このページのタイ語の読みを表すカタカナ表記は,あくまでも耳で聞こえる感じの一例をカタカナ化したものであり,
このとおりに発音しても,タイの人達には必ずしも通じない場合が(多々)あることをご承知おき下さい。
このページではこの長〜いバンコクの正式名称について,一つ一つタイ語を対訳して理解してみます。 とはいえ編集部の解釈なんて,つけ刃素人のいい加減なものですから, 必ずしも正しい訳とは限りません。 学問的見地から不自然なところやおかしいところがあれば,諸先輩方のご指摘を是非ともお願い致します。 それでは最初から順に「対節解釈」をしてみましょう。
「マハ」はワット・サケットやワット・スタットの正式名称など,しばしばお寺の名前などに使われる『偉大な』や『大きな』を表す言葉です。 「ナコーン」は,ナコーン・ラチャシマー(コラート)や,ナコーン・パトムなど,タイ各地の県の名前に多く使われている『都会』を表す言葉です。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ラッタナ・コーシンとは『インドラ神の家宝』,すなわちエメラルド仏を指し,現在のタイの国王ラマ9世が継承している王朝もこの名前を称しています。 王宮があるワット・プラケオがエメラルド寺院と呼ばれる由縁です。 インドラ神とはヒンズー教の神様の一人で,東洋に伝わった時点で何故か帝釈天に変身します。 後でも出てきますが,タイ語はにはインドラ神を表す様々な表現があります。 蛇足ですがフーテンの寅さんのお膝元,柴又の帝釈天にはこのインドラ神が祀られているというわけです。
まぁ確かに『インドラ神』や『戦争』に相当する単語はあるのですが,『侵すべからざる』のような言葉が見当たらないのですよ。
まず前半のマヒンタラー。 この単語そのものは辞書では見つけることができませんでした。 最初のタイ語を見てお判りのとおり,タイ語は英語のように単語毎に区切るというより,日本語のように文節で区切るイメージの言葉です。 従って, 複数の単語の組み合わせだろうと推測しました。 表のとおり『インドラ神の大地』あるいは『インドラ神』そのものの2つの解釈がありえると考えられます。 それぞれのタイ語綴りの最後の文字の上にある"6"が傾いたような記号は「読みませんマーク」で, 綴りでは表記するが実際には読まないという意味です。 従って,読みを表したカタカナで表記例では( )付きにしています。 元のタイ語綴りやバンコクという土地を表す言葉の一部ということを勘案すると,前者(表の左側の解釈)が有力なようです。
そこで言葉を分解してみると,戦争+薬 ということになりそうです。 後半の「ヤー」は『薬屋さん』の意味もありますので,皆さんの中には薬局の看板でこの文字を見たことがある方も少なくないのでは? この解釈が明解ではないのですが,戦争+薬=平和 とでもなるのでしょうかねぇ? どなたかご教示お願いします。
「ディロック」は『至上』,『頂上』の意味で,要するにサイコー!ということ。 最後の「ポップ」は『大地』,『帝国』など広大な土地を表す単語で,前の文の「マヒ」と同様の意味があります。 この節の意は『偉大にして至上の大地』として異論は無いところでしょう。
次の「ラチャタニー」は,「ラチャ」が『王』の意,「タニー」が『都』や『街』の意を持っており,最初の「クルン」と同義の語です。 タイの最東端の県であるウボン・ラチャタニーにこの語が使われています。 「ブリー」は,これまたタイ各地の県や地名によく使われている語で,『街』を表すものです。 皆さんご存知の所ではバンコクの西,戦場に架ける橋で名が知れたカンチャナブリーが真っ先に挙がりますが,この他にもパタヤビーチがあるチョンブリー県, バンコク都内の東部の街ミンブリーなど,枚挙に暇がありません。 最後の語は『楽しい』を表す言葉。 タイの人達の間では,楽しいことこそ人生の基本という考えが支配的ですので,地名の修飾語の一つとして『楽しみ』が入るのも当然のことでしょう。 タイ語の綴りが微妙に異なりますが, タイ中部にブリーラムという県があり,この県名の意味は『幸福・喜びの街』という意味だそうで,相関がありそうです。
「ニウェート」は,この語自体にフィットする対訳が見つからなかったのですが,宮殿や家屋が集合した場所を表す語で, 日本語に例えれば,新興住宅地の『○○が丘』や『△△台』などに相当する語のようです。
「サタン」は『公共の場所』の意味です。 バンコクの BTS や地下鉄に乗ったことがある方は耳馴染みがあることと思いますが, この「サタン」を伸ばした「サタニー」というタイ語があります。 この「サタニー」は一定規模の公共に益する建物を表します。 例えば「サタニー・ロッファイ」だったら『鉄道駅』,「サタニー・ヴィッタユー」だったら『放送局』,「サタニー・ファイファー」だったら『変電所』という訳です。 従って,BTS や地下鉄の車内で『次は○○駅で〜す』というアナウンスがタイ語で流れる時に,この「サタニー」という単語が使われています。
「ピマン」は『仙宮』や『天堂』など,神が住む格調高い建物を表す語とのこと。 一般的な対訳では,この節と前後の3つの節は十把一絡げで『神が権化して(=国王)住みたまう』とされており,逐節の訳がなされてないケースが多いようです。
最後の2つの語は表のとおり。 ヴィシュヌカーム(『ヴィシュヌカルマ』とした訳もあり)神は,あらゆる建設工事に熟練した神の名前で,神様の世界の"名工"のような方なのでしょう。 というわけで,漸く最後の「サティット」まで辿り着いて『完成』したわけですが,どうもこの最後の節も,インドラ神がヴィシュヌカーム神に建設『させた』ニュアンスがよく判りませんでした バンコクの正式名称の如く長々と能書きを垂れましたが,要するにバンコクは『インドラ神の不滅の家宝(エメラルド)の如き戦争無き平和で,偉大にして至上なる九種の家宝の如き楽しき, 数々の大王宮が建ち並び,国王が宿る不滅の仙堂がある偉大なる豊かな王国の,インドラ神がヴィシュヌカーム神に建設させて完成した天人の首都』なのです。
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