Report 45

再び? ビール大研究
〜タイビール編〜

2005年夏の新製品情報は こちら  2006年1月の新製品情報は こちら

一堂に会したタイのビール(2004年12月現在)

 タイに滞在しはじめの 2001年9月に,「地元のビールは旨い!」のページでタイのビールを紹介しました。 あれから3年,タイのビール市場も少しばかり状況が変わっています。  ここではタイ遊学の「卒論」の第一部として,タイのビールを大分析してみましょう。

 日本のビールの種類の多さは,世界的に見ても目を見張るモノです。 タイもビールの種類は多い方で,大別すると,エコノミーレギュラーそしてプレミアムの3つのクラスに分かれます。  ここではタイの缶ビール(330ml)を中心に,2004年12月に入手できたものについて編集部の特別研究所(?)で独自に分析してみました。 但し表中のコメントには,筆者の独断による主観的な評価も含まれますので,ご留意下さい。

 



エコノミークラスの「5人」
【エコノミークラス】
 330ml缶が 20バーツ(約60円)程度の価格で売られているもので,タイでは庶民向けの最もポピュラーなビールです。 バンコク市内のレストランではあまりお目にかかれませんが, 屋台や郊外のレストランでは飲めるところもあるようです。 スーパーマーケットやコンビニではだいたい手に入れることができます。 単に酔いたいだけとか,リーズナブルに済ませたい, あるいは寝酒程度なら,このクラスのビールで十分かもしれません。

エコノミークラス分析結果とコメント (2004年12月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1缶当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
タイ
Thai
17.506.521.450.82
 2002年7月頃に登場。 1缶当たりの価格,単位アルコール当たりとも,最もコストパフォーマンスに優れたビール。 味もマァマァ,「酔うだけ」ならこれで十分か?
アーチャー
Archa
19.005.417.821.07
 2004年8月頃に登場。 この価格帯では無難な一品だが,アルコール・パフォーマンスはやや劣る。
チャーン
Cheang
19.006.421.120.90
 2002年の日韓ワールドカップサッカーで,タイのTV中継のスポンサーに付いたことで,爆発的に売り上げを伸ばしたビール。 独特の香りとコクに好き嫌いが分かれるか?
レッド・ホース
Red Horse
19.506.922.770.86
 2004年12月頃に登場。 フィリピンの San Miguel が投入したもの。 コク・キレともに今ひとつか?
リオ
Leo
19.005.518.101.10
 このクラスでは最も「贅沢」なビールだけあって,のど越し爽やか。 この価格帯のビールでは,編集部のイチ押し。


 2005年10月頃にプレミアムクラスの王者,ハイネケン系列がエコノミークラスに新製品を投入したとの情報をいち早く(?)得た編集部は,バンコク支局の優秀なる特派員に電撃取材を依頼し,このほど (2006年1月) 真相を究明したので,ここに番外的に分析結果をご紹介します。 ラベルは,レギュラークラスで先発の Blue Ice 同様,青色が基調です。

エコノミークラスの新製品とコメント (2006年1月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1缶当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
チアーズ
Cheers
21.005.618.481.14
 酸味が強くフルーティ,人によってはクセがあるような味とのこと。 大瓶(640ml)は 37バーツ程度で売られている。



レギュラークラスの3銘柄

【レギュラークラス】
 これまでこの価格帯のビールは,1933年に登場以来 70年以上にわたってタイのビール界をリードしてきた「シンハ」が独壇場でした。 タイを訪れた皆さんの中にはこのビールを口にして, タイのビールの美味しさに舌鼓をうち,タイ料理とのマッチングを楽しんだ方が多いのではないでしょうか。

 2004年,この価格帯に新たに「ブルー・アイス」と,「タイガー」の2つの銘柄が参入してきました。 「ブルー・アイス」は,エコノミークラスの「レッド・ホース」と同じ, フィリピンの San Miguel 社が,タイのビール会社とライセンス契約を結んでタイ市場に投入したものです。 シンガポールではお馴染みの「タイガー」も最近はタイに参入し, 「シンハ」の独壇場だったレギュラークラスに競争の風を呼んでいます。

レギュラークラス分析結果とコメント (2004年12月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1缶当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
ブルー・アイス
Blue Ice
25.006.421.121.18
 かなり辛口な印象。 のど越しもスムーズで,「シンハ」と十分張り合える実力はありそう。
タイガー
Tiger
25.005.016.501.52
 炭酸がやや弱い印象,改善の余地がありそう。 タイの市場を切り開くことができるか?
シンハ
Singha
26.006.019.801.31
 タイのビール界をリードしてきた由緒あるビール。 タイの料理や気候に合うコクがある味は,タイビールの「標準」。

 エコノミーとレギュラークラスのビールの中には,アルコール度数が6%を超える「濃い」ビールがあります。 この理由についてはシンハ70(後述)をゲットしたこのページをご一読下さい。



プレミアムクラス「4兄弟」

【プレミアムクラス】
 プレミアムクラスのビールは,タイのハイソな人達や外国人観光客の間で飲まれています。 そのせいか,銘柄は全て「舶来品」で,王者は何といっても緑のラベルで世界に広がる Heineken です。

 このクラスに,日本からも「アサヒ」がスーパードライをタイ東北部の Khon Khen のビール工場と提携して現地生産を始め,タイ市場に参入しました。 バンコクの日本人向けのレストランやスーパーマーケットではよく見かけるのですが, タイ全土でのシェアはまだ未知数というところでしょうか。 今後の善戦を期待するところです。

プレミアムクラス分析結果とコメント (2004年12月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1缶当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
クロスター
Kloster
30.505.217.161.78
 日本人にチョイと人気のドイツの地ビール。 タイでライセンス生産している。 Heineken に飽きた時にイッパイ如何?
ミットワイダ
Mittweida
32.005.016.501.94
 ドイツのメーカーと提携してタイで現地生産しているもの。 あまりメジャーではないが,密かな人気とか。
ハイネケン
Heineken
32.755.016.501.98
 プレミアムクラスでは,シェアナンバー1。 タイ人ハイソや外国人の間では圧倒的な人気。
アサヒ
Asahi
35.005.016.502.12
 辛口路線は踏襲しているものの,日本のオリジナルに比べると,キレが不足か? 今後の善戦に期待。


 フィリピンの大手ビールメーカー,サンミゲルが 2006年1月頃にタイのプレミアムクラス市場に参入し,販売を開始したとの情報をいち早く(?)得た編集部は,バンコク支局の優秀なる特派員に電撃取材を依頼し,このほど (2006年3月) 真相を突き止めたので,ここに改めて分析結果をご紹介します。 

プレミアムクラスの新製品とコメント (2006年3月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1缶当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
サンミゲル
San Miguel
36.005.016.502.18
 遂に参入したサンミゲル。 口当たりも良く後味スッキリとのバンコク特派員評。 こくと旨味もあり,日本人語のみの味との情報もある。
サンミグライト
San Mig Light
36.005.016.502.18
 上のサンミゲルよりはやや甘口との評。 このライトはローカロリー指向で,今後のタイビール市場に影響を及ぼすかも。


【番 外】
 タイビールの王者,シンハが 1933年の登場から70周年を記念して出した「シンハ70」。 2003年半ばから出回っていた「筈」ですが,編集部が実際に入手したのは 2004年2月でした。  最近のマイルド指向を敏感に掴んだのか,オリジナルのシンハビールに比べるとアルコール度数が低く設定されています。 なぜかこの銘柄はビンのみの販売のため,このページでは【番外】としてご紹介します。

シンハ70の分析結果とコメント (2004年12月現在)
銘 柄価格の
一例
[バーツ]
アルコール
度 数
[%]
1ビン当たり
のアルコール
量[ml]
アルコール
1ml当たりの
価格[バーツ]
シンハ70
Singha 70
(左のビン)
630ml
43.005.3(630ml当たり)
33.39
1.29
 アルコール度数が低い分だけコクが薄いか? さてこの記念ボトル,いつまで飲めるんでしょうか?


 如何でしたか? このページでご紹介したビールは,残念ながら 2004年12月現在タイで入手できる全てのビールではないことをご容赦下さい。

 このページでご紹介したビールの殆どは,当面の間であればタイ各地のコンビニやスーパーマーケットで入手可能なはずです。 しかし,時代とともに消えていく銘柄や, 新たに誕生する銘柄もあることと思います。 このページの編集に当たって,「タイ鉄道入門ヲタク」のメークロン線道中記〜その1及びその2〜に同行戴いた日本語達人氏の多大な協力に感謝します。  タイのビールに関しては,世界麦酒博覧会のタイのビールのページに詳しい解説がありますので, 興味ある方は併せてご覧下さい。

 次のページで,タイ滞在中に訪れた国で飲んだビールをご紹介しましょう。(2005年2月記)