Report 40

新50バーツ紙幣大研究
 タイでは 2004年10月から,新しい50バーツの流通が始まりました。 いち早く(?)入手した編集部の速報はこちらの日記のとおりです。  一見,これまでの50バーツ紙幣と同じような印象を受ける新紙幣ですが,このページでは「お約束(笑)」どおり研究してみることにしましょう。

このほどお目見えした新札(上)とこれまでの50バーツ紙幣(下)の表裏

 これまで出回っていた50バーツ札は,国王在位50周年を記念した1996年に発行(実質市中に出回り始めたのは1997年だった模様)されたもので,材質はポリマー(プラスティックのような感じ)製でした。  ハッキリしたことはよくわかりませんが,当時は紙幣の「寿命」を長くしようとポリマー製の導入に踏み切ったのではないかと推測します。 しかし残念なことに「紙幣に折り跡がつきやすい」「色落ちはが早い」など, タイ国民には不評だったため,50バーツ用ポリマーのストックが底をついたのを契機に,他の紙幣同様紙製の紙幣に切り替えたものです。 今回の切り替えに伴い,これまで1枚あたり1.65バーツかかっていたコストも, 0.75バーツになり,政府のコスト低減にも繋がっています。

 それでは,流通が始まった新紙幣を具に研究してみましょう。 まずは現国王の肖像が印刷されている面からです。

 大きく変わった点には,それぞれ番号を付けてみました。

  • 1Aは,裏面の1Bとの「合わせ技」になりますので,後述します。
  • 2 は,タイ文字の「50」の左の暗い色の部分が,これまでより少し伸びています。
  • 3 はサインの位置が,従来「0」の上付近だったのに対し,新札では少し左寄りになり,「50(タイ文字)」のほぼ真上になっています。
  • 4 はこれまであった透明の部分がなくなり,国王の肖像の透かしが大きくなりました。
  • 5 は,アルファベットとアラビア数字による紙幣の番号の位置が,これまでの札に較べると上になりました。
  • 6 はこれまで暗い感じだった部分の色が薄くなっています。 全般的に新札はこれまでの50バーツに較べると明るい感じです。
 次に反対の面を見てみましょう。 この面には帯刀したラマ4世(1804-1868)がお座りになっている姿が印刷されています。 現国王の肖像が印刷されている面同様, 大きく変わっているところには番号を付けています。 

  • 1Bは,表面の1Aとの「合わせ技」です。 どちらも全く同じ位置に表裏で印刷されているので,透かしてみると下に示すとおり「50」と見えます。  この技術は最新の20バーツ札(こちらのページで紹介)にも使われています。

1A

1B

合わせ技で「50」

  • 7 は,この部分のマークの周囲のデザインが変わっています。
  • 8 は,アラビア数字の50が細身になり,スッキリした字体になりました。
  • 9 は「50(タイ文字)」のデザインが丸くなり,文字左側に新たに模様が入りました。
 以上,新旧50バーツ紙幣の主立った相違点を「研究」しました。 このほかにも,細かく探せば多くの「改善点」が見いだせることと思います。

 タイ政府は,ポリマー製の50バーツ紙幣を向こう数年かけて徐々に新札に切り替えていくとのことです。 ここで紹介した旧札, 暫くしたら価値あるものになるかもしれませんよ。(2004年10月記)